絞りの「F値」とは？F値と明るさ、フォーカスとの関係について

デジタル一眼レフカメラには、絞り優先モードなどありますが、この絞りを示す「F値」とは何を示すのでしょうか？

「F値」とはレンズが取り込む光量を表す指標

レンズには絞り羽を操作して取り込む光の量を調整する機能が備わっています。レンズが取り込む光の量を表す指標として用いられるのが「F値(エフチ)」で、絞りを最も開けた状態を示すのが開放F値です。
F値と絞りは、数値的に反比例関係にあります。F値を明るいほうから1段ステップで数えると、F1.0、F1.4、F2.0、F2.8、F4.0、F5.6、F8.0、F11、F16、F22、F32となります。数値が大きいほど絞ったことになり、取り込む光の量が少なくなります。光量が1/2に低下するたびにF値は1段ずつ下がります。例えば、F2.8のレンズとF1.4のレンズを比較する場合、前者は後者より「1段暗い」と表現します。最近のレンズには絞りダイヤルがないものが多く、それらはボディ側でF値を設定します。

F値のもう1つの指標はピントの合う範囲を示す「被写界深度」です。こちらは、F値が大きい(絞りを絞る)ほど被写界深度が深くなり、広い範囲にピントが合ったシャープな描写になります。逆にF値が小さい(絞りを開ける)ほど被写界深度は浅くなり、ピントを合わせた対象物の前後が大きくボケることになります。

より多くの光を集めることができるレンズを「明るいレンズ」と言う

レンズの口径が大きく、より多くの光を集めることができるレンズを「明るいレンズ」と言います。明るいレンズとそうでないレンズの境界は、開放F値F2.8が1つの目安になります。
明るさの条件が同じなら、レンズの絞りを開けて撮像素子に届く光の量多くしたほうがシャッター速度を速くできます。つまり、絞りを最も開いた状態にしたときのレンズの明るさが、どれだけシャッター速度を速くできるかにつながるわけです。明るいレンズ(F値の数値が小さいレンズ)は、暗いレンズより絞りを明るく(F2.8、F2、F1.4など)設定できるため、同じ明るさの条件でより速いシャッターが切れます。そのため、ブレにくくなります。
また、絞りを開く(明るくする)ほどピントが合って見える範囲が狭くなり、背景のボケを大きくする効果が得られます。そのため、明るいレンズは背景をぼかした写真が撮りやすいレンズであるとも言えます。ただし明るいレンズは大口径なので、大きくて重いです。
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暗いレンズより明るいレンズのほうがフォーカスを合わせやすい

マニュアルフォーカスでピントを合わせる場合、明るいレンズのほうが絞り開放(絞りを最も開いた状態)での被写界深度が浅く、肉眼でピントを確認しやすい傾向にあります。ただし、これがオートフォーカスでも同じ傾向になるかどうかは、非常に微妙です。
確かに、暗い場面では明るいレンズのほうがピントが合いやすいのですが、明るい屋外であれば、レンズの明るさを問わず同じような精度でピントが合うようです。

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